
概要
No Lawは、『The Ascent』を手掛けたスタジオNeon Giantが開発し、KRAFTONがパブリッシングを行う、ストーリー重視の一人称視点シューターです。舞台となるのは、法が現実というよりは単なる提案に過ぎない、広大でインダストリアルなサイバーグランジ都市「Port Desire」。プレイヤーは、過去を捨て去ろうともがく、戦傷を負った元軍人のGrey Harkerとして物語を駆け抜けます。しかし、その計画は早々に崩れ去ることに。待ち受けているのは、プレイヤーの重要な選択、柔軟なコンバット、そして危険が息づくリアルな都市を軸に描かれる、サイバーノワールな復讐劇です。
Port Desireは海を見下ろす崖に築かれ、スモッグに覆われた地上の路地から、霞の中に消える高層の屋上まで、垂直方向に積み重なっています。ここはあらゆる派閥、犯罪組織、そして行き場を失った魂が集う産業のハブです。この都市は単なる背景ではなく、ゲーム全体を構成する核そのものです。Neon Giantは、戦術的なステルスと正面突破のFPSアクションの両方が有効な「遊び場」としてこの都市を設計しました。垂直構造の建築により、移動やポジショニングが火力と同じくらい重要な意味を持ちます。

No Law content image
世界観と舞台:Port Desire
Port Desireが舞台として優れているのは、その圧倒的な「実在感」にあります。単なる灰色のコンクリートにネオンサインを貼り付けたような、ありきたりなディストピア都市ではありません。サイバーグランジの美学は、ネオンの下に層をなす産業的な汚れ、ひび割れたインフラから這い出る緑、そしてクエストマーカーのような顔ではなく、確かな個性を持った住民たちによって表現されています。Harkerはこの街を知り尽くしており、その歴史が、多くのシューターが省略しがちな世界観の深みを生み出しています。

No Law content image
本作のノワールな構成がここで真価を発揮します。Harkerは白紙の主人公ではなく、明確な過去を持つ一人の人間であり、物語は彼から奪われたものを取り戻すために展開します。個人的な思惑と、派閥や隠された陰謀が渦巻く都市が組み合わさることで、No Lawは注意深くプレイするプレイヤーに報いる物語の土台を築いています。
インパクトのある選択とリプレイ性
No Lawの決定的なメカニクスは「結果」です。本作の主な特徴は以下の通りです:
- 物語の結末を左右する分岐する決断
- 周回プレイで明らかになる別ルート
- プレイヤーの行動により変化するNPCとの関係
- 物語とゲームプレイの両方に影響を与える選択肢
- 唯一の正解が存在しない道徳的な柔軟性
敵を倒すことも、味方を助けることも、世界に爪痕を残します。本作は、一度のプレイでは見えない結末を解き明かすための周回プレイを明確にサポートしており、これはストーリー重視のFPSとして非常に意義深い取り組みです。このリプレイ性は単なる水増しではなく、設計の根幹に組み込まれています。

No Law content image
No Lawのコンバットはどのようなものか?
No Lawでは、プレイヤーに2つの異なるアプローチが用意されており、どちらを選んでもペナルティはありません。Grey Harkerの軍人としての経歴は、どちらの役割でも説得力を持たせます。SFガジェットや垂直移動、影を利用して敵を計画的に排除する「戦術的オペレーター」として振る舞うか、あるいは巻き添え被害など気にせず正面から突撃する「兵士」として戦うか。軍事アップグレードによって両方の道が広がり、Port Desireの垂直構造は、平面的なマップのゲームでは再現できない、側面攻撃や奇襲、逃走ルートの確保といった戦術的なチャンスを生み出します。
SFデバイスは標準的なFPSのメカニクスに深みを加え、単に撃ち合うだけでなく、敵を出し抜くことを可能にします。ステルス、移動、そして直接的なコンバットの選択肢が組み合わさることで、No Lawは単なるシューターというよりもイマーシブシムに近い体験となっており、これこそがNeon Giantが『The Ascent』で探求したデザインの領域なのです。

No Law content image
プレイスタイルとプレイヤーエージェンシー
プレイヤーエージェンシー(プレイヤーの主体性)は、No Lawのすべてを貫く重要な要素です。物語の選択、コンバットの柔軟性、アップグレードシステム、そのすべてが「Harkerはプレイヤー自身のキャラクターであり、プレイスタイルによって形作られる」という考えに帰結します。一度も発砲しないゴーストとして生きるか、街を破壊し尽くすマシンとして生きるか、どちらも同じ人物の正当な解釈となります。これを実現するのは言葉で言うほど簡単ではありませんが、もしNeon Giantがこのビジョンを完璧に実行できれば、No Lawは近年の最高傑作と呼べるストーリー重視FPSの仲間入りを果たすことでしょう。







