「Xboxで本作をプレイしたいと願うプレイヤーの気持ちは痛いほど分かりますが、MicrosoftおよびXboxがBDSのボイコット対象から外れない限り、リリースすることはありません」
これは、『Untitled Goose Game 〜いたずらガチョウがやってきた!〜』を手掛けたオーストラリアのスタジオ、House Houseが『Big Walk』の公式サイトで発表した声明です。このメッセージは明確かつ意図的なものであり、その全容を理解しておく価値があります。
Big Walkは8月4日にPS5、PC、Mac、Nintendo Switch 2でリリースされ、広く称賛を集めました。Xbox Series XおよびSでの展開は当初から計画に含まれておらず、数ヶ月にわたりファンからその理由を問う声が上がっていましたが、ついにHouse Houseが回答を示しました。
BDS運動とリストにおけるMicrosoftの立ち位置
House Houseの決定は、BDS運動(Boycott, Divestment, Sanctions:ボイコット、投資引き揚げ、制裁)と直接的な関わりがあります。これはパレスチナ主導のキャンペーンであり、パレスチナ人に対する行為に加担していると見なされる組織に対し、経済的および文化的な圧力をかけることを目的としています。BDSは、Microsoftのイスラエル政府との契約やパートナーシップを具体的に指摘し、Microsoft GamesおよびXboxを優先的なボイコット対象に指定しています。
同スタジオの声明は、地政学的な問題について過度な論評は避けています。読者に対してBDSのリソースやPeople Make Gamesの動画を参照するよう促し、メッセージの焦点を「スタジオはボイコットを支持しており、その支持が『Big Walk』の展開プラットフォームに直接的な影響を与えている」という点に絞っています。
Microsoftとイスラエル政府の関係は、同社内でも緊張の火種となっており、過去数年間には従業員による抗議活動も公になっています。House Houseは、製品のリリース判断を通じてこの関係性に対し正式な立場を表明した、最も著名な開発スタジオの一つとなりました。
スタジオの公式声明
bigwalk.gameで公開された声明の全文は、以下の通りです:
同スタジオは、この決定が自らの意図と矛盾を生んでいることについても異例の率直さで語っています。『Big Walk』は、友人同士のグループが広大な島を探索するという、協力プレイ体験を軸に設計されました。Xbox版をリリースしないことは、一部のプレイヤーが友人グループと共にプレイできないことを意味しており、House Houseもそれを認めています。「この決定により、一部のプレイヤーが友人と『Big Walk』を楽しめなくなることは理解しており、失望させてしまうことを心苦しく思っています。私たち自身も残念に感じています」
これは一般的な企業の建前ではありません。政治的な立場を優先するために、自らが掲げる目標に対して生じる現実的な損失を甘受するという、スタジオの姿勢が示されています。
Xboxプレイヤーへの現状の影響
結論から言えば、『Big Walk』のXbox版が近々リリースされる予定はなく、House Houseが設定した条件である「MicrosoftがBDSの優先リストから外れること」は、短期間で容易に達成されるものではありません。
Xboxをメインプラットフォームとしているプレイヤーにとって、選択肢は限られています。本作はPCでもプレイ可能であり、Xboxプレイヤー層と大きく重複していますが、コンソールでプレイしたい場合はPS5が唯一の選択肢となります。各プラットフォームでのプレイ可否や、バージョンごとの違いについては、Big Walkプラットフォーム対応ガイドで詳しく解説されています。
重要なのは、これがゲーム業界において極めて異例の事態であるという点です。これまでにもビジネス上の紛争や独占契約を理由にプラットフォームからタイトルが引き揚げられた例はありますが、政治的理由でプラットフォームを明確にボイコットし、その理由を正式な声明として発表するケースは稀です。House Houseは、独自のルールで活動する小規模なインディースタジオであり、今回の決定もその方針に沿ったものと言えます。
インディースタジオとプラットフォーム政治の全体像
ここでのポイントは、House Houseが単なるビジネス上の判断を下したわけではないという点です。声明を公に発表したことで、これは他の開発者やパブリッシャー、プレイヤーが反応できる「可視化された行動」となりました。そして、業界が公の場で議論することを避けてきた「スタジオはリリース先を決定する際、プラットフォームホルダーの政治的関与を考慮すべきか?」という問いを突きつけています。
大手パブリッシャーのほとんどは、少なくとも公の場では「ノー」と答えるでしょう。しかし、大手パブリッシャーのようにプラットフォームホルダーとの関係に依存していない小規模なインディースタジオであるHouse Houseにとって、その計算式は異なります。同スタジオには、大規模なチームが直面するような商業的リスクを抑えつつ、こうした立場を表明する自由があるのです。
『Big Walk』は2026年を代表するタイトルのひとつです。本作の魅力についてはレビュー記事を、またゲームを既にプレイ中の方は、全12個のアンロック要素を網羅したBig Walkトロフィー・実績ガイドをぜひチェックしてください。





